写真は昨年11月11日の県教委交渉風景。交渉には教育局各課の主幹クラスが並び、高校教育指導課の主席指導主事が代表となりますが、人事異動が毎年あるため、一からわからせてあげなくてはなりません。
埼玉県教育委員会委員長様
2004年7月
埼玉県教育委員会教育長様
どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会
代表 斉藤尚子
みんな一緒に普通学級へ・埼玉連絡会
代表世話人 一ノ瀬、井ノ山
埼玉障害者市民ネットワーク
代表・野島久美子調査項目とカウントのしかた
要望書
6月18 日、本年度第一回目の高校問題に関わる交渉が行われましたが、その持ち方といい、回答の内容といい、これで積み重ねてきた経過を踏まえていないばかりか、15 年間にわたる話し合いの中で培ってきた信頼を失わせるようなものでした。
これまでの交渉では、高校教育課だけでなく、義務教育や特別支援教育など関係各課が一回に揃って行われてきましたが、前回の交渉では、主席と連絡調整担当の主事と二人だけという前例のないもので、しかも要望書の項目に沿って文章化された回答ではなく、まとめて簡単に話をして、昨年度末から懸案になっている「研修」について答えればいいといった回答の仕方でした。このような回答の仕方も前例がなく、どのようにしたら高校への受け入れが進んでいくのかを検討していく場であるにもかかわらず、県の機関として責任を持って臨んでいるのかどうか、極めて疑わしい内容でした。
この15 年間、どのような障害があってもみんなと一緒に高校で学べるようにするにはどうすればいいか、現在の選抜制という枠の中で、本来あってはならない定員内不合格を出さないために何をしなければならないかを検討し続けてきました。定員内不合格は「その生徒を受けとめきれない、環境を整備できていない学校や教育委員会等に関わる制度的な課題として認識する。」といった確認も交わしています。にもかかわらず、コミュニケーションがとれるかとか、入学の意志があるかといった、障害を本人の責任とし定員内不合格をも認めるような首席の発言は、これまでの経過を踏みにじるものであり、このような発言が責任者の口から出てくるようなことがあってもいいものでしょうか。高校に対して、そのような障害があっても受け入れていくよう、どのようにして理解を広めていくかが教育局としての任務ではないでしょうか。
今一度、これまでの経過の趣旨をきちんと引き継ぎ、現時点の任務が何かを自覚して、誠意のある回答をお願い致します。1.「障害のある生徒の埼玉県高等学校入学者選抜学力検査出願の際の留意事項及び選抜の際の取り扱いについて」の通知で、“身体に障害のある”を“障害のある”に変えた経過があります。身体に限らず、どんな障害があっても、障害が重くても、不利益な取り扱いがあってはならないということでこのように変えました。主席の発言の中で、コミュニケーションがとれない(とれるか、とれないか、はっきり言えないものだと思うが)者や入学したいという意思がない(わかりにくくても、受験をするということはその意思があると思えるが)者は、選抜において別扱い、つまり能力適性がないということで定員内不合格になっても止むを得ないとも受け取れる発言がありましたが、このことは、障害があることによる“不利益な取り扱い”であり、この通知の趣旨に反する“不利益な取り扱い”に値するものではないでしょうか。
1984年の初等中等教育局長通知では、一律に高校教育を受けるに足る能力適性を有することを前提とする考え方を採らないことを明らかにしており、また、現在の高校への進学率は97%といわれ、多様な能力適性、意欲関心等を持つ生徒を受け入れている中で、障害のある子たちについては能力・適性を強調するのは問題です。2.朝霞高や吉川高の見学、大宮商業高や浦和一女高の目的が何であったのか、再度お聞かせください。コミュニケーションが不足しているとか、教員が準備するのに苦労しているとかの報告がありましたが、受け入れている高校ではどのように工夫や努力をしているのかを評価し、それに対して県教育局としてどのような支援が必要かといった報告がなされるべきではないでしょうか。また、定員内不合格を出している高校に対しては、その理由は何かを明らかにさせ、それに対して県教育局としてどのような解決策を出すのかといった報告がなされるべきではないでしょうか。
企業の障害者雇用の啓発のために、雇用が進んでいない企業名を公表する等行われていますが、定員内不合格を出している高校名を発表し、理由を明らかにして、その解消のための研修を義務付けるべきではないでしょうか。3.定員内不合格はあってはならないものです。しかしながら、斉藤くんは4年間不合格にされ続け、山田さんも2年間不合格になっています。同年齢の人たちが卒業したり、卒業学年になったりしていることを考えれば、もうこれ以上待てません。あってはならない定員内不合格を出している県としての責任をとって、高校が受け入れていくための具体策を出してください。“繰り返し、強く指導する”では、何の解決にもならないことは明白です。一つの方法として、障害児本人や親、支援者と教員が直接話したり、体験的に登校して生徒たちや教員たちと接してみたりするような“研修”を要望しましたが、特定の学校で行うことはできないとか、現在県が行っているような研修内容をくつがえすことはできないといった回答でした。あってはならない定員内不合格が、特定の人に対し、特定の高校で出されているわけですから、その解消のために、特定の高校で研修が行われるのは当然であるし、そうでなければ、なんら解決していかないでしょう。また、実際に付き合うことでしか、理解は始まりません。早急に実現に向けて取り組み始めてください。
4.昨年開かれた特別支援教育振興協議会の会議において、高等学校におけるノーマライゼーションの理念に基づく教育の推進に関して、定員内不合格の問題については、議論する時間がないなどの理由で、その場での話し合いはできませんでしたが、「別の機会に話し合いたい」という回答でした。その後、どの場で、どのように検討されているか、その進行状況について知らせてください。
5.「障害のある・・・」通知の“・・・介助を行う職員等を配置することはできない・・・”の部分について、この文言があることで、障害がある人は介助が必ず必要であるという意識を持たせてしまうことや、逆に介助が必要な人に高校は対応しないと言っていることになるといった理由から、削除することを強く要求しましたが、“・・・今後、県教育局で研究することとする。”という文言を付け加えただけで削除されませんでした。また、特振協の報告には“高等学校における特別な教育的支援について研究を行う必要がある”と書かれています。その研究結果について知らせてください。
6.「障害のある・・・」通知に基づいて、本人・保護者から出された学力検査の際の配慮事項について、その希望を受け入れ、不利益な取り扱いがないよう、志願先高校長を指導してください。
23日の交渉の会場は、右の図のJS-―1ビル5階です。連絡会では事前打ち合わせを当日1時20分より県庁第2庁舎1階ロビーのアンテナショップかっぽ前で集合して行います。こちらもどうぞ。