県教育局との交渉の感想

山田町子(どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会

わけのわからない埼玉のノーマライゼーション

 埼玉県では昨年、ノーマライゼーションの理念に基づく教育をどのように進めるかについて特振協で話し合われた。これまで普通学級の中の障害者は本来ここに来るべきではないとして排除されてきたが、これからは障害がある子もない子も共に学ぶことがあたりまえになっていくのかと期待された。しかしその検討結果を見ると、障害のあるなしに関わらず共に学ぶのではなく、現在普通学級で学んでいるLD、ADHD、高機能自閉症等の生徒に対して特別な教育をしていこうというものだった。そして現在その選別はすでに始まっている。障害児はこれまで通り特殊学級、養護学校へと分けられて行く。教育局は交渉の中で、「分ける教育と分けない教育を両立させる」などとわけのわからないことを言っている。会場からは「ノーマライゼーションという言葉を使うな」という意見も出た。ノーマライゼーションのとらえかたが根本的にまちがっているんだなと思う。

どうなる?障害者の普通高校進学

 教育局があいかわらず障害者は特別なところでという姿勢を変えていない中で、障害者の普通高校進学は厳しいといわざるを得ない。教育局は「定員内不合格はあってはならない」と言いながら、高校は義務教育ではないのだから選抜試験があり、その高校の教育を受けるに足る能力・適性がなければならないと言っている。しかも、「コミュニケーションが取れないのでほんとうにその高校に入りたいという意思がわからない」そうである。
 高校には勉強についていけない生徒もたくさん通っているし、また必ずしも通っている高校に行きたいと思っている生徒ばかりではない。教育局の掲げたこれらの理由は、障害者を締め出すこじつけとしか思えない。

どうする?これからの高校入試

 障害者の普通高校進学は義務教育とは違う困難な問題がある。ひとつは高校へ行けなかった場合そうするかだ。家でふらふらしているのは本人にとっても家族にとってもつらい。また定員割れしている高校は定時制が多いが、夜通うのは大変だし、送り迎えが必要だと家族の負担にもなる。高校出てもどっちみち将来は作業所へ行くしかないんだから無理に普通高校へ通わせることはないと言う人もいる。親も9年間普通学級に通わせる中でへとへとになるし、さまざまな事情で頑張りたくても元気が出ないときがある。「養護学校でもいいか」という気持ちにもなってくる。
 本当のところ気持ちはどうなんだろう。小学校、中学校と普通学級の友達の中でワイワイやってきているのを見て、やはり本音は普通高校にやりたいと思っている親も多いのではないだろうか。何より子供の気持ちはどうなんだろう。少なくとも自分の子どもを見ている限りでは、同年代の子ども達との付き合いを望んでいるのがよくわかる。門の開かれていないところに入ろうとするのはしんだいけれど、同じ思いをして悩んでいる親同士で訴えていくことはできないだろうか。親からの要望が多ければ教育局としても無視はできないと思う。そこで今度例会がありますので、もう進路を決めてしまった人、まだ迷っている人、関心のある方ぜひご出席下さい。(10月16日午後1時半?南浦和・ぺんぎん広場)