障害のある生徒が県立高校を受験する際に、障害による不利益がないように点字受験、時間延長その他の配慮をする制度がある。
これを定めた通知の中に「学校として介助を行う職員等を配置することはできない」という箇所があり、選抜する高校側に先入観を植え付けるものだとして、「どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会」などが長年にわたり教育局に対し、削除を求めてきた。
さらに、昨年は、「埼玉障害者市民ネットワーク」代表の野島久美子さん(写真)ら県内の介助を受けながら暮らしている障害者たちが、介助を必要とする障害者に対する欠格条項というべき文言だとして署名運動を行い教育局に要請したが、研究するとの回答のみで削除は見送られた。
この12月1 日に出された通知で、県はこの部分を削った。連絡会や障害者らの主張を認めた形だ。
県はこれまで「現状をお伝えする必要があると考えるので、介助員の配置のめどが立たなければ削除できない」とつっぱねてきたが、今回は「周知されたとみなしたので削除した」と説明している。
昨年、野島さんは「介助を行う職員をどうするかといったことは、まずこの条項を削除し、私のようななんらかの形で介助を必要とする障害のある生徒たちを受け止め、付き合う中で、一緒に考えてゆくべきだ。」と主張していた。
県は通知の文言からは削除したが、同趣旨のことを入試担当者の説明会などで口頭で述べているという。
野島さんは、養護学校卒業後、地域で介助者を募って一人暮らしをしながら、県立高校定時制に入り、卒業した経験をもつ。
「入学後2年間は級友がトイレなども手を貸してくれた。遠足の前に校長から付き添いを連れて来なければ参加させないと言われたけど、いつも街の人に手を借りながら動いているので、当日も付き添いなしで参加し、何も問題なかった。
そのうち私から頼まないのに、高校が非常勤講師を雇い、私の介助をさせるようになった。」と語る。
県としても、たんにつじつまを合わせるだけでなく、知的な障害を持った生徒や重い障害の生徒が小・中学校の通常学級に1111 人(特別支援教育振興協議会での県の報告)も在籍する現実を踏まえ、地域の県立高校でまず受け止めることを通じて、現場と一緒に考えてゆくことを望みたい。