県教育局との話し合い

(2005年3月4日 一次入試不合格の発表後)

於・埼玉県職員会館4階音楽室 司会・野島

竹迫 今日発表があり、斉藤さん、山田さん、二人とも定員内不合格になった。3 年目、5 年目という長い時間をかけて、今年は校長と話したり、体験入学をしたり、今まで以上に期待していたのに残念だ。なんとか二次につなげたいという思いでみんな集まった。まず初めに、それぞれ結果を見てから校長と話をしてきたので、その報告をしたい。そちらも定員内不合格を出さないよう指導をされてきていると思うので、どうだったのかも聞きたい。

田部井 雪の中お集まりいただいたことにお礼を申し上げる。4回話し合いに参加させていただいたが、内容は厳しいものがあった。基本的姿勢としては、定員内不合格は出さないよう、校長会など通じてくりかえし話してきた。皆様方のご意見や強いご批判を受け止め、理解を深めていかなければいけないということもわかったので。管理職の研修、障害のある生徒の学んでいる学校に行ってもらい、それをもとに研修をした。養護学校の先生を招いての研修もしてきた。山田さんは浦和一女の体験の希望があり、2月9日に給食をいただき一年生の教室で4 時間体験入学した。本人が体験するだけでなく、高校の先生にもそういう姿を見てほしいと思ったから。斎藤さんもお母さんが事前に大宮商業の校長と会って話す機会をつくった。学校は校長だけでなく職員を入れての学校運営をしている。2 人が抱えている障害の内容を広く研修してもらうため、他の学校にも行ってもらった。研修の前と後では職員の考えも変わってきたのかなと、校長を通して把握した。しかし高校には入試がある。その結果が今日の不合格となり、残念ではあるが、二次募集が来週あり(10日入試、16日発表)、お二人がまた再度チャレンジすることについて、浦和一女、大宮商業の先生方は承知している。

斉藤 毎年校長(大宮商業)の話を聞くのが親のつとめと思っている。今回の不合格について言われたことは、LD、ADHDの生徒がいる中でうちの息子を抱える不安が現場にあるそうだ。「出席日数をこなせば進級というのは義務教育のうちだけなので、入学=進級=卒業と考えられると問題がある。その中で受け入れるにあたっては、聴講生(そういう制度はないが)という形で半年、一年、準備期間のような形で、本人に接しているうちに現場の教員の理解を得られるのではないか。入試で緊張している姿しか教員たちは見ていない。本来の状況を見て接する時間が必要ではないか。聴講生という形になったらお母さんとしてはどうですかと言われた。最初から同じ時間をクリアーするのでなく、給食までとか少しずつやっていく方法もあるのではないかと言われた。いろいろな案を話された。これはしかし、試験の前に言うか、合格してから言ってくれれば、と思った。「一次で不合格なのだから二次を受けても同じですよね」と言ったら、こういう具体的な話をされた。5 年間で初めての具体的な話だった。試験の前に願書を提出に行ったら、朝から教頭が控えていた。「お時間ありますか?」ということで応接室で、「個人的には応援しているので、これからも挑戦してください」と教頭に言われた。校長も教頭も前向きだった。

山田 去年とは違って、今年は入れると思っていた。試験通学に田部井さんが来てくれたし、校長(浦和一女)も理解のある人に見えた。残念な結果ではあったが、みなさんにお世話になった。試験通学のときも、本人は他の生徒に話しかけ、積極的だった。私もああこれならやってゆけるなと思った。今日、校長に言われた不合格の理由は以下の四つ。@本人から、是非入りたいという気持ちがはっきりと伝わってこなかった。面接のときも。A入学したからには進級、卒業させたいという先生の気持ちがあるが、それを約束できない。B授業でどんなふうに教えたらいいのか、本人がちゃんと座って授業を受けられるのかどうかわからない。Cトイレや教室移動のときのこと、もしものとき、安全確保ができるかどうかわからない。という、この四点を総合的に判断した結果の不合格だと説明された。

大坂 結果は去年と同じだが、もしかしたら前進しているのかなという印象も受けたが…。受験する側の気持ちが少し理解されてき たのかなとも思った。ただ、合格できない限り、「気持ちはわかるんだけど」というところで終わってしまうと思う。二次募集までにもう 少し強力な指導をしてもらいたい。

田部井 理解をしないことにはものごとは進まないと常々思う。我々のできることは定員内不合格を出さないということと研修の中身をつくっていくことが大事。なにか強い圧力をかけてどうこうするという問題ではなかろうと思う。入学の許可は校長の責任。

佐久間 本人が入りたいという意思が伝わってこないということが言われたが、それは入ってみて初めて分かることだと思う。入学してから留年したり中退する子もいる。娘の場合は本人が行きたがっていた。学校へ行けなくなって家にいると、行きたかったんだなというのがわかる。娘は、入ってみてから本人が入りたかったんだなということがすごくわかった。進級と卒業が約束できないというのは障害者だけじゃないと思う。授業で何を教えるかは、どの担任も困ると思うが、娘の担任には先生の持っているものでつき合ってくれればいいとお願いした。そして先生が独自に教材を用意してくれた。二年生になって華道部に入った。学校の教員ではなく、プロのお茶の先生が教えに来た。まさかこんな子が来るとは思わなかったろうが、その先生は初日から娘に直接話しかけてきてくれた。先生はその後「花をさす手つきが柔らかくなってきましたよ」と言ってくれた。本人と向き合うことが大切である。

猪瀬 親より頭にきている。優しい言葉で思わせぶりのことを言って切り捨てていく。切り捨てることは昔と変わってない。今、ノーマライゼーションと言えばなんでもすまされる。研修についてもほかの受け入れ校に行くとか、養護学校の先生を呼ぶとか、それは二人を受け入れる研修にはならない。マイナスの研修だ。実際二人とつき合うことをしなければ研修にはならない。「成果」の中身を教えて欲しい。

田部井 成果は学校の職員が障害者に対する理解を深める、ということ。山田さんも斉藤さんも学校に行ってお話しする中で、そういう理解を肌で感じたというお話があった。

猪瀬 二人を受け入れるための研修だったと思う。受け入れられなかったのだから成果は無かったんじゃないのか。「一般的な障害者」を受け入れてくれという話をしたわけじゃなかったと思う。「一般的な障害者」に比べて、実際の二人を見るととても受け入れられない、ということになってしまうのだったら研修はむしろマイナスである。

田部井 教員が二人を迎える雰囲気が、以前と変わった。それはよいこと。二人を受け入れるかどうかは選抜試験を受けていただいて決まること。結果は我々にはどうにも出来ない。我々にできるのは環境をつくること。

猪瀬 連絡会の言ってきた研修は、一般的な障害者を受け入れてくれという研修ではなかったはず。何が成果か。

田部井 そういう意味なら猪瀬さんの言われることを理解した。

武内 教育局が「定員内不合格をさせない責任がある」「試験通学に意味がある」と言うなら、このふたつのことについて校長は二人のお母さんに一言も言っていないじゃないか。「定員内不合格をまた起こしてしまって申し訳ない」と言ってない。それから今回の体験通学について具体的にどうだったかという言葉が何も無い。本人の意思がわからないとか、トイレが出来ないということは言うけれども。その二つのことを、校長先生がどう考えているのか。明日でも明後日でも校長先生に聞きたい。社会的な問題だ。二次募集に向けて強力な指導をお願いしたい。


田部井 校長先生にはこれまでもお会いしてきたが、またお会いする予定です。

今井 定員内不合格というのは、一次は、許されるのか。

田部井 こちらとしては指導した。だが合否は校長の裁量権。

猪瀬 校長が定員内不合格を出すときには、発表前に教育委員会と話をするのだろう?

田部井 指導した。よくお話して、出さないように、選考会議でよく議論をするように、と話す。

今井 能力・適性と言ったときに、個人の能力に問題があるのか、それとも学校や社会に問題があるのかという話し合いをこれまでしてきているのではないのか。トイレができないのは能力なのか。

木村 本来あってはならない定員内不合格を出してしまって申し訳ない、というのが最初にあるはず。謝罪ものだ。校長も、職員の理解をそこまで高められなかったということについての責任がある。ただ前進としては、今まで不合格に理由に関し「総合的に判断」という言葉しかなかったのが、理由が具体的に出たという意味では重要。山田さんに関して挙げられた4つの点は、すべて職員の側の問題。本人の問題なのか?そうじゃない。ただ、局のほうがそれなりにやる気になって動いたことが、学校の理解につながっている。田部井さんはこの三月で異動。いる間に具体的な動きをやっておいて欲しい。4 月になって担当者が代わったら、またゼロからのスタートになってしまう。

武内 校長が話したことは事前協議の中で言ってきたんでしょ。

田部井 事前協議の中では、二人の試験のようすについて話した。今あがってきたことも、ある程度話した。そして難しいということも出された。研修の中で、障害者に対する理解を作ってきた。今日の結果を聞くまではわからなかったが。

武内 4つの中には差別的なことも入っている。もう一度私たちと校長を含めて話す場を作ってほしい。

田部井 理解をいかに高めていくかということが、受け入れの条件を高めていく。まだ溝があるかもしれないが。私どもの姿勢としては定員内不合格をなくすということで、課を挙げてやってきた。

猪瀬 強い指導があればひっくり返るだろう。校長が先生達を説得できる何かがなければ、それを教育委員会がやるべき。やらなければ同じ繰り返しになる。

武井 教育局という立場の人が教員を指導するのに、どうしてそんなに時間がかかるのか。それ自体は指導力の問題だ。あってはならない定員内不合格に対しての指導なわけだろう。理解がとても大変だと言うが、そんなに大変なことなのか。

田部井 時間がかかりすぎるのは申し訳ない。飯能高校に二人の障害のある生徒がいる。一人は知的障害と自閉症の生徒。もう一人は知的障害。受け入れに当たって教員の中で難しいという声があった。事前に、受験する生徒の中学のクラス担任と交流を持ち、研修会を持った。最終的には、校長も教頭も職員も受け入れようということになった。入学して11ケ月たったが、課題がいろいろある。今回の二校の校長が聞きに行ったところ、一番大きな問題は進級ということだった。評定をするのに、他の生徒と大差があるのに進級させたのでは公平感を欠くので、配慮した。だから進級が出来るかどうか。それから、もうひとつの問題は、ときどき所在がわからなくなるので、複数の職員が探し回った。本人がどこかへ行ってしまったときの安全の問題。仮に事故があった場合の責任のとり方。そして、二人がクラスの中でコミュニケーションをどうやってつくっていくかという問題。なかなかつくれていないし、時間がたつごとに周囲も難しいと感じているという話だった。そういう課題を飯能高校は持っているので、大宮商業や浦和一女の校長は、理解を進めるためにはそういう課題をどうクリアーするかを考えていけないなと考えている。

今井 それがさっき猪瀬さんの言った研修のマイナスの成果。そういう話を飯能高校で聞いて二校の校長がそれらの課題をクリアーしないと受け入れられないとマイナスの判断をしたとしたら、それこそが研修のマイナス面。

武内 田部井さんが今そういう例をここで言うことに問題がある。だからこそ、一緒にやっていこうとならなければいけないのではないか。

門坂 最初の挨拶からそうだったが、能力、適性、コミュニケーション…みんな個人の責任なのね。「個人」と言っているのはすべてハンディキャップで、それをクリアしてから入ってこいと言っているようなもの。コミュニケーションがとれなければ入るのは難しい、と言うのだから。それでどう障害者を理解していこうとしているのか。交流はするけど日常生活の中では一緒にやれないよと。

田部井 自閉症について知るため、専門家を呼んで研修をする。課題は課題として認識しなければ、問題は先へ進まない。飯能高校の課題は現実としてあるわけだから、見ておかなければならない。私がつとめた高校では車いすの子供を受け入れていたが、設備が無いので階段をかついだりするのが大変だった。

門坂 私の息子が就職できないのも「コミュニケーション」が理由にされる。しかし息子の友達は、なぜ彼がコミュニケーションに問題があるとされるのかわからないと言う。付き合いの長さによってその判断は大きく違うと思う。前に覚書を交わした中で、一番の基本は定員内不合格はあってはならないということ。二番目の定員内不合格を出したときの理由を明確にというのは定員内不合格を出さないようにするために考えるべき材料。


田部井 飯能高校の例は、課題は課題として認識しなかったら先に進んでいかない。課題はあったんだけど受け入れていると。ただ現実に課題があるんですから、それを認識しないと受け入れることは難しい。

木村 飯能高校の生徒の母親と話をすると、県の人がひんぱんに来るようになってから学校の先生の対応が随分違ってきた、と言う。現場は、応援がないと思うことが一番不安で厳しい。一緒に考えていくということが大きい。県の人が目を向けてくれることが大事。

田部井 前任者から、研修は今年度のテーマであって、あなたの大きな任務であると言われた。空き時間を見つけて県内外の定時制高校を歩きまわった。研修は、生徒が学んでいる場に先生に行ってもらえるよう、飯能高校を選んだ。私も引継ぎは大事にしたい。

山下 二次募集までに、校長と話をし、研修の話もからめて、落とされた理由についておさえるべきではないか。研修は交流やきっかけづくりという意味では重要。車いすの押し方などは参考にはなる。が、反面自分の知らない障害をもつ人に会うと構えてしまうということも。私もいろいろな障害をもつ人とつき合ってきたが、つき合っていけば一人一人違う。というより、関係によっても違ってくる。研修が参考になるということは、この障害にはこうすればよいという先入観を持ってしまうというマイナス面もついてくるが、それは状況によって打ち砕かれる。親が一緒にいるとかいないとか、他に誰もいないで自分と一対一になったとか、状況によって全然違ってくる。それはつき合っていかなければわからない。だから、研修をやると、ますます大変な面も見えてくるからプラスとマイナス面をもたざるを得ない。校長が挙げている項目の中で、コミュニケーションというのはお互いの関係の問題。だから、一緒にいないとわからない。研修を深めるということでは到達できない、手探りの中で新しく生み出されるもの。その子と親の間で成り立つコミュニケーションとはまたちがうものを生み出さなければならない。入学させなければ解決しない問題である。授業のやり方などについても、まずは受け入れ校が今までやってきたとおりのことを一緒にやってみる中で「どうしたらいいんだろう」と考えていくことであって、保証しなければならないことではない。安全については、本人が一番探っていると思う。うろうろするのも安全を求めているんだと思う。コミュニケーションが成立しない中で、必死に手探りしている状態であると思う。そしてそれを一番わかるのは生徒たちだと思う。一緒にいないと、コミュニケーションそのものが成り立たない。やっていく中で、どうしても対応しなければならないことが出て来たときに、研修をやればいいと思う。最初にいろいろやると、見えるものも見えなくなる。時間をかけなきゃ駄目。飯能高校が解決が出ないままに取り組んでいるということが大事。そういう理解を校長にも伝えてほしい。

田部井 山下さんの言う「一緒にいる」という話が、正直言って私にはわからない。実は私の知人の弟が、三十数年間いた精神病院から出てくることになった。どうつき合っていくべきなのか悩んでいる。「一緒にいる」と言うは易しく、中身は難しいと思う。しかし私にとって大切な友人だから、力にはなりたいと思っているのだが。

今井 その話がそのまま(高校の)現場の話なのである。そうなったとき、どうやって現場を支えていけるかということを我々は話し合ってきたのだ。

田部井 今の話は、一人の人間として触れ合う部分があったと思ったから話させていただいた。教育局という立場で話すのとは違 う。

山下 私の弟がやはり入退院を繰り返していた。弟は私を一番怖がり、同時に頼りにしていた。しかし親・きょうだいだけではどうしてもやっていけない。たとえば「職安へ行ってこいよ」という話をすることもあったが、弟のためにやることは本人にとって苦痛で、どんどん追い詰められてしまう。ちょっとした変化によって緊張が高まる関係になっていた。しかしそこへ全く関係のない人が来ると、その緊張がふっと解ける。第三者の役割というものはすごい。近しい人には絶対にできないことを、クラスメートはできるのだ。それはクラスメートが「なんでこんなとこに障害者が来てんだよ」と思う、いやおうなしに障害者に関わらざるを得ないという立場になるから。障害者を支えようと思うような立場の人ばかりだと、どんどんつらくなる。私の家も、この家は緊張で爆発するんじゃないかと思ったときに、回覧板がまわって来ただけで緊張が解けることがあった。「ここはその人(障害者)のためにあるんじゃないぞ」という場が、すごく大切なのだ。

藤崎(今井通訳) 二人が落ちた理由は介護の問題だったのか。では介護を誰がやるかはっきりすれば、入学できたのか。勉強ができないから勉強しに行くのだろう。義務教育が終わって他に行くところがないから高校へ行くのだろう。

田部井 二人の不合格は、介護の問題が主な理由ではないが理由の一つには入っている。ただ、これまでは落ちた理由がよくわからないままだったが、今年はそれぞれの校長が二人によく説明をしてくれた。勉強をするために学校へ行くというのはその通り。しかし高校は小・中学校とはちょっと違う。入るためには試験を受けなければならない。制度は制度として大事にしていきたい。が、一方で、二校の校長も二人の個別の事情も配慮して対応したいと思っている状況もある。詳しくは言えないが。わかってほしい。

竹迫 校長が理由をきちんと言うようにしたということで、これは知事さんと話したということもあるのかなと思う。しかし校長の話を聞いて思ったのは、意思表示ができるかどうかとか、進級とかいうのは能力の問題。それを解決して入れるようにするということではなく、やはり「一緒にやっていく」という姿勢を持たないと定員内不合格は続いていく。先日飯能高校の先生達と話す機会があり、田部井さんの言われたような課題で悩んでいることを聞いた。受け入れたところで課題を考えながら一緒にやっていくことがノーマライゼーションと思う。そういうことを校長に話してほしい。期待だけ持たされて終わるだけでは、研修の成果が無になる。

門坂 義務教育でもうちの息子は「本来いてはいけない子」であり、息子はそこへ無理矢理入っていった。最初は追い出し工作をされたが、中学まで行き、高校まで心配してくれるようになったのは、「もうしょうがない。いるんだから、どうにかしなくちゃ」と先生達が腹をくくった、諦めたときからだった。そこから変わった。そのあとは息子も机に座っているようになった。最初から条件を整えてつきあい始めたわけではない。その点、高校は入試選抜があるので、覚悟の決め所がない。

藤崎(今井通訳) 俺は生活ホームに住んでいたが、今団地で一人暮らしをしている。中野屋さんで実習をしたときは、店の人たちと俺に何ができるかと話し合ったが、結局車いすに座って店の前にいるということしかできなかった。が、店では「藤崎稔さん、職場実習中」という文字を電光掲示板に入れてくれた。だから考え込まない方がいいよ。なんとかなるから。

田部井 有り難うございます。

大坂 いまの「どうにかなる」という話とか、門坂さんの「学校が開き直ったとき」という話とか。私も田部井さんがやったということで、もしかしたら流れを変えられるんじゃないかと思って、さっき言ったのだが。3 月までにもうひとふんばりしてほしい。

田部井 研修の成果について問われてつまったところもあったが、昨年の五十嵐指導幹が研修を考えてみたい」と述べたことを受けて今年取り組んだ。いまできることを、制度の制限もあるが取り組んでいる。藤崎さんの「何も考えずやってみよう」というのも一つの考えと個人的には思う。ただ教委としては「何も考えず」というのも難しいが。

山田 小・中学入学に入るときに校長と話をしたとき、コミュニケーションができないし、トイレも一人でできず、どうやって先生が授業をやっていいかわからないと言われた。そして何かあったら学校には責任があるから困る、と言って養護学校をすすめられた。今回高校の校長に言われたことと同じことを言われ続けて、ふつう学校で過ごしてきた。中に入ってやっていく中で、本人も周りも先生も馴染んでいくということが9年間ずっとあった。やはりまず受け入れていくということが大事。それでも学校側が心配だということであれば、教育委員会も一緒に心配していくんだという姿勢を見せて欲しい。入れたら後は学校の責任とはしないで欲しい。親としても先生の不安等を受け止めて一緒に考えていくという気持ちでいる。

竹迫 同じことの繰り返しにならないためにはどうすればいいかということを田部井さんにやって頂かないと。

門坂 どこで誰が腹をくくるか、だ。それが田部井さんの立場であり、そういう人がどうしても必要だ。事前協議で唯一、校長に強い意見ができる人。話を聞いて「それは大変ですね」と言うか、「それでも定員内不合格はだめだ」と言い通すか。

武内 親は腹をくくっている。本人も。今は昔と比べ、体験入学や研修があり、拒否はしないという土俵ができてきてはいる。もうちょっと整理して、改めて話を詰めたい。

(5分休憩。全員で打ち合わせ後、以下の三つの要望に対し、回答をもらう)

@二次募集に際し、定員内不合格を絶対出さないようにして欲しい。
A不合格の理由として挙げられた課題については、まず入学をして、日常的に学ぶ中で一緒に考えていく課題であると認識して欲しい。そして教育局としても受け入れ校を孤立させず、一緒に考えていくことを表明してもらいたい。もちろん私たちも一緒に考える仲間に入ってやっていく。
Bそれでも不安はあると思うので、二次の前に、今挙げられてきた共に学ぶ上での課題への工夫に関し、これまで様々な体験をした蓄積が私たちの方にあるので、伝える場をその二校で持てるように働きかけて欲しい。懇談会の形で。

田部井
@については「やります」
Aについては「当然のことなので、受け入れてくれる学校の相談にはのっていくつもり」
Bについては「二次の前には時間的にできない」

山下 事前協議の機会に、別室でそういう場を設けられないか。

田部井 ノウハウを伝えたい、ということは伝えておくが、教育局として場を設けるとは言えない。

 ということで、まとめとして出した三つの要望のうち、最後の項目については受け入れられませんでしたが、その他については、局としても真摯な努力を傾け、また受け入れ校でも前向きな姿勢で二次入試に臨み、結果として二人が合格したことは、大いに評価できます。
 主席は1 年で交代するならいです。新しい主席が今年度の取組みを踏まえ、さらに多くの高校での受け入れを進めるとともに、受け入れ校での教職員の相談にのり、共に学ぶ高校生活を支える環境づくりに努力するよう、引き継ぎを行ってほしいと思います。

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