共に学ぶ教育(要望と回答)このほかに他の分野でも教育に関わる質疑応答が沢山行われましたが、ここでは割愛します。 |
@ 彩の国障害者プランに基づき埼玉県は教育のノーマライゼーションを進めるため、特別支援教育課内にノーマライゼーション教育担当を配置していますが、特別支援教育課が管轄し予算を握っているのは盲・聾・養護学校についてのみです。ノーマライゼーション教育は「分け隔てられることなく共に育ち・学ぶ教育」であり、本来義務教育課ないしは市町村教育課に配置されるべきものと考えますがいかがでしょうか。回答: ノーマライゼーションの理念に基づく教育の推進は当県の重要課題の一つに位置づけ、特別支援教育課を窓口にしながらも、義務教育指導課・職務教育課などの関係各課との連携を図りながら、取り組んでいるところであり、障害のある児童生徒一人ひとりに対するきめ細かな支援を図れるような観点からすれば、私どもと特別支援教育課が窓口になることによって特別に問題がないのではないかと考えます。(特別支援課)
A 文部科学省は、既存の盲・聾・養護学校を特別支援学校(仮称)として、地域の小・中学校の支援センター的機能を持たせる構想を打ち出しています。しかし、盲・聾・養護学校には「特殊教育」についての情報はあっても、共に育ち学ぶための支援ノウハウはまったく欠落しています。障害をもちながら、どうやったら他の子どもたちと一緒に勉強できるのか、子どもたちの関係を損なわない介助のあり方はどうあるべきか、運動会や遠足などの行事への参加はどうしたらよいのか、既成の制度活用はもちろんのこと、制度の枠をはみ出す現場での様々なとりくみを蓄積・研究し、市民や障害者団体、関係機関などとのネットワーク、情報収集、研修の企画などを通して、親子や教員などの相談にのり、応援していける体制を市町村レベルで構築してゆくことが必要と考えます。県として市町村への支援施策を考えてください。回答:熊谷、坂戸のモデル市における支援籍の取り組みでは、ご指摘の障害を持ちながらどうやったら他の子どもたちと一緒に勉強できるのか。運動会や遠足などの行事への参加をどうしたらいいか等の点につきまして、小・中学校の支援籍学習を実施する際の養護学校の先生方からのアドバイスが大変参考になっていると報告をいただいております。一方通学や指導における介助のあり方等については、ご指摘のとおり教育における取り組みと並行しまして地域福祉の仕組みづくりの中で支援籍を支えていただくボランティアの活躍に期待したいことから、福祉部や県の社会福祉協議会と連携しながら、介助ボランティアの育成にも取り組んでおります。また、モデル市では就学支援委員会を通しまして、関係機関との連携を図りながら障害を持つ児童生徒一人ひとりの具体的な支援のあり方等について助言をいただいているケースもございます。県といたしましては、支援籍の取り組みを応援していける市町村レベルの体制作りは大変重要だと考えております。これらのモデル市における成果を踏まえまして、それぞれの市町村が出来るところから、取り組んでいけるよう一月に予定しています成果報告会などを通じまして、そのノウハウの提供に努めてまいります。(特別支援課)
B 保育園、幼稚園の入園について、どこに相談したらいいのか、入れないのではないか、といった不安を持った若い親がたくさんいます。また、入園希望を伝えたら、障害児通園施設に行くべきとか、手がかかる子は受け入れられないとか、親の付き添いができないなら無理とか、障害のある子がいると他の子のことを面倒見てもらえないという親たちの意見があると言われた、といった例が跡を絶ちません。早期発見・早期教育(療育)の名により、幼いころから特別なレールが敷かれ、近所の子供たちや家庭生活から分けられ、迷わされるのは本末転倒です。障害の重い子も含め、保育園幼稚園などで、あたりまえに共に育ちあうための支援を考えてください。回答:障害者保育につきましては国庫補助事業については平成15 年度から一般財源化されたものの県単独補助事業につきましては、現在継続して国庫補助事業の補助対象外であって障害児について広く補助しているところ。その結果障害児保育は、平成12 年度、具体的には県下で592 人という在籍者が16 年度は886 人になっております。県といたしましては今後とも障害児保育に限らずさまざまな保育ニーズに応じた特別保育について、その充実を図ってまいりたいと存じます。(子育て支援課)
障害のある幼児も地域の身近な幼稚園で同世代の子供たちと一緒に幼稚園教育を受けたり遊んだり出来るように、県では障害のある幼児の私立幼稚園への就園を促進するとともに、障害のある幼児を受け入れる私設幼稚園における教育環境の充実を図るため障害のある幼児が在園する私立幼稚園に対しまして、幼児が安心して園での生活ができるようにするため、補助する教員や職員の雇用にかかる費用、それから施設の修繕等の経費に関しまして補助を行って、県レベルでは私立幼稚園が障害のある子を受け入れやすい環境を整えることができるようまた、幼稚園が負担を理由に受け入れを断念することがないように引き続き幼稚園の補助をおこなってまいりまして、障害のある子供も幼稚園への就園の支援をしてまいりたいと思います。(義務教育指導課)
障害のあるなしにかかわらず幼児一人ひとりが主体性を発揮して自ら活動に取り組めるようそれぞれの幼稚園によって幼児の実態や保護者の願いなどを踏まえた活動を行うことが重要と考えています。今後とも各幼稚園が園内の協力体制を確立し、指導の充実に努めるよう教育委員会に働きかけてまいります。(学事課幼稚園担当)
C 小中学校の普通学級において、校外学習や宿泊学習の度に保護者の付き添いを求められ、家庭の事情で付き添いができず休むことになったり、介助員の付かない日はプールに入れないと言われたり、介助員がついているにもかかわらず、みんなが走るマラソンコースと違うコースにされたりといったことが起こっています。このような事態は、障害のない子の場合、学習権を侵したとして大問題になりますが、障害のある子供の場合、あってもいいのでしょうか回答:通常の学級に在籍する障害のある児童生徒の指導に当たっては、一人ひとりの可能性や能力を最大限生かし生活や学習上の困難を改善・克服するために適切な教育的支援を行うという考えに基づいて推進しております。今後とも児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導支援に努めるよう市町村教育委員会に指導してまいります。(教育指導課)
D 県の目指すノーマライゼーションとは、母親が付き添いをさせられているが、子どもが大きくなりプールの介助が大変であるにもかかわらず、教員は一切手伝ってくれないといったような例がよくあります。「本来養護学校に行くべき生徒」「ここにいるべきでない子ども」「経過観察中の子」と位置付けられた結果といえます。県がめざす「ノーマライゼーションの理念」から見て、どう評価されますか。また、このような事態についてどう対処されるのでしょうか回答:支援籍は現行制度の中で在籍する学校や学級のほかに、障害のある子供たち一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな支援を具体化すると共に障害のない子供たちの心のバリアフリーをはぐくむための仕組みと考えております。実際モデル市における支援籍の取り組みの中で、共に学ぶ機会が増えていくことで、盲聾養護学校に在籍する子供たちを自分の教え子、あるいは自分のクラスメートととらえていただけるなど、少しずつではありますが、意識が変わってきていると確信してきております。今後全県における支援籍などの新たな仕組みの定着に向け全力で取り組んでまいりたいと思います。(特別支援課)
E みんなと一緒に育ち学ぶことが大切であるといわれながら、その一方で小中学校の普通学級に在籍する子どもたちの就学後も分けられた場に移ることを繰り返し強いられたり、親の付き添いを強制されたりしていますが、昨年の交渉で県は「保護者と教委、学校が独自に約束事としていることについては、県教委の指導になじまない」とした上で、付き添い強要といったことがあれば「県として調査する」と答えました。このような実態は枚挙にいとまがありません。ぜひ調査しその結果を明らかにしてください。回答:付き添いについては必要のある場合、話し合いによって保護者の付き添いをお願いするときもあると受け止めております。このことについては県教育委員会が調査や指導することはなじむことではないと判断しております。教師自身が障害のある児童生徒に対する理解を深め、学校全体の教育体制を築いて指導に当たるよう市町村教育委員会に働きかけてまいりたいと思います。(教育指導課)
F 特別支援教育コーディネーターの資格取得の講座や研修。特別支援教育振興協議会の出した方向に沿って、支援籍の試行などの取り組みが進んでいるところですが、現実に普通学級で学んでいるすべての障害のある子どもの実態を把握しないままで、「ノーマライゼーションの実現につながる」などありえません。特別支援教育コーディネーターの資格取得の講座や研修において、このことをどう説明されているのですか。回答:平成15 年度の埼玉県特別支援教育振興協議会ではノーマライゼーションの理念に基づいた教育をどのように進めるかについて審議を行い、検討結果等をまとめました。その際審議資料を策定するため小中学校の通常学級に在籍する障害のある児童生徒について調査を行いました。特別支援教育コーディネーターにかかる研修会におきましては、国や県の通常学級に在籍する特別な教育的支援が必要な児童生徒に関する調査の結果を踏まえまして、小学校・中学校・盲聾養護学校等における校内外の連絡調整等を担当する特別支援教育コーディネータとして必要な学校内や関係機関との連絡・調整の技能や本人・担任・保護者との相談に必要なLD・ADHD 等にかかる一般的な知識や教育的支援の進め方等についての研修を行っているところでございます。(特別支援教育課)
G中学校卒業後の進路選択。中学校卒業後の進路選択で、養護学校や特殊学級においても、選択肢として高校もきちんと項目に入れ必要な説明を行ってください。その上で、養護学校や特殊学級を含む全ての中学3年生の高校進学希望数から定員を決めるようにしてください。回答:特殊学級や養護学校の進路指導につきましては、埼玉県特殊教育教育課程編成要領特殊学級等のものと、盲ろう養護学校のものとありますが、教育課程編成要領の中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択できるように、学校の教育活動全体を通じて計画的組織的に進路指導を行っており、之に基づいて、進路希望の取り扱いを含めて適正に実施されていると認識しております。今後も引き続きまして、一人ひとりの生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択できるよう関係機関と連携して、進路指導の充実に努めてまいりたいと思います。(特別支援教育課)
県公立高校の生徒募集人員は、中学校卒業見込み者数、過去の進学率、公私比率等を勘案して策定しております。また、各高等学校の募集人員は、全体の募集人員の増減を踏まえ、地域の中学校卒業者数、中学生の進路希望状況調査、過去の志願倍率、学級数の適正、希望等を勘案して決定しています。(高等教育指導課)
H 障害のある生徒たちの県立高校受験に関し、中学校段階で情報が不足していたり、誤った情報に基づいた指導が行われている実情があります。教育局としてきちんと指導を行ってください。回答:高校教育指導課といたしましては中学校長及び中学校進路指導担当者に対して、入学者選抜実施要綱説明会において、埼玉県公立高等学校入学者選抜の通知に基づき、障害のある生徒の学力の検査出願の際の取り扱いについて説明をいたしております。主な説明内容といたしましては、障害のある生徒の入学者選抜における学力検査及び選抜に対しては障害があることにより不利益な取り扱いをすることがないよう留意することを基本的な考えとしていること、また 学力検査の際に介助を必要と考える生徒が在籍している中学校長が、学力検査の際、特に介助を必要とする生徒について、教育局・出願先高等学校長に事情を十分説明することなど・・聞き取り不可能・・・(高等教育指導課)
I 軽度の知的障害児を全県から集めて就職率100%をめざすという高等養護学校、そして自力で通える知的障害児を集めるという県立高校内の養護学校分校設置は、障害者自立支援法と同じ差別・分断の道でしかありません。県立高校を希望する生徒達に対し、定員内不合格など排除の姿勢を変えず、養護学校高等部に誘導してきた結果として、「知的障害養護学校の教室不足」がもたらされたことを認め、全面的に見直してください。回答:平成17 年7 月の教育委員会におきまして埼玉県立南高等養護学校(仮称)、及び埼玉県立・・高等養護学校(仮称)基本計画が策定されたところです。今後はこの基本計画に基づいて、教育課程などを含め施設整備などハード面について検討を進めてまいりたいと思います。また、成15 年度、特別支援教育振興協議会において、ノーマライゼーションに基づく教育を推進する観点から、高等学校内に、養護学校分校を設置することの研究の必要性について、検討結果報告を受けております。今後は、ノーマライゼーションに基づく教育を推進する観点と、教室不足の解消の観点から、高校の余裕教室を活用した分校の設置に関して、他県の状況などを参考に検討してまいりたいと思います。なお、高等学校の定員内不合格につきましては、受験者が募集人員を満たない場合、可能な限りその全員を候補者とするよう校長を指導してまいりたいと考えております。(特別支援教育課)
「こんにちは さやまのペンギン村です!」NO.148より転載 |