共に生きる街は、共に働く職場、共に学ぶ学校から
 この4月から越谷市は障害者就労支援センターを発足させました(写真)。下左は同センターのパンフの表紙です。「分け隔てられることなく」とはっきり謳っています。これは、昨年スタートした越谷市の新障害者計画の基本理念でもあります。センターでは、支援があれば就労できそうな人を支援するだけでなく、本人や周りがその人が就労するといったイメージをまだつかめない人のために職場を体験したり、就労を切り口にした生活の見直しをやってみるといった支援も行います。これまで「正規雇用」できそうな能力・適性があるかないかで、就職かそれとも作業所・施設かと障害者を分けてきた、労働行政と福祉行政、そして教育行政のモノサシとは大きくちがってきます。
 これまでは福祉的な支援を必要とする人は就労支援の対象にはなれませんでした。就労支援を受けるためには、本人が努力して福祉的な支援を受けなくてもすむようにならなければいけませんでした。なんとか就労しても支援が必要になりそうならやめさせられました。でも、これからはそれではいけません。ヘルパーや作業所を利用しながら、パートやグループ就労を含む多様な就労の道がきりひらかれてこそ、障害者だけの世界VS障害のない人だけの世界といった断絶がときほぐされてゆくのです。
 そう考えると、「障害のある子は特殊学級か盲ろう養護学校へ」と分け隔ててきた学校教育こそ、真っ先に改められる必要があります。就学指導(支援)委員会のふりわけを拒否して、近所の友達と一緒に育つことを貫いた親子に、「本来はここに来るべき子じゃないんだから」と親の付き添いを当然のように強いたり、「支援が必要なら別の学校がありますよ」と勧めるなどは、これからの就労支援の方向とあいいれません。





 右は、この就労支援センターを越谷市から受託したNPO法人・障害者の職場参加をすすめる会の事務所兼活動拠点である「職場参加ビューロー・世一緒」のごあいさつ。
 支援センターができても、けっきょくは一人一人の共に働き・共に暮らす体験が積み重ねられることが大事。そこから支援の多様なノウハウが蓄えられ、施策化の方向も定まります。市は今年度センター立ち上げの予算を組んだところで一杯なので、市民サイドで「世一緒」をつくり、手弁当で活動し始めたのです。ほんとうにささやかですが、重要な活動です。
 ひるがえって学校教育の現場を考えれば、「本来ここにいるべき子ではない」とされながら小・中学校のクラスで共に学んでいる子供たちの実態把握が、同様に重要なカギです。場を分けた上での部分的交流に限った「支援籍」よりも中身の濃い体験が、明日の糧となるのです。