特報 「ヤミの障害児」の実数(一部)を国が初公開
就学指導委員会判定結果と実際の就学先  (小学校1年生 文科省全国調査)

平成17年 (小学校1年生 児童総数 1,199,757人) (人)
就学判定/就学先盲・ろう・養護学校特殊学級通常学級合計
盲・ろう・養護学校適4,844(77.47%)1,178(18.84%)231(3.69%)6,253(24.00%)
小計1,409(22.53%)
うち、認定就学者352(5.63%)
特殊学級適83(0.83%)7,569(75.49%)2,374(23.68%)10,026(38.47%)
通常学級適8(0.08%)52(0.53%)9,721(99.39%)9,781(37.53%)
合計4,9358,79912,32626,060

教育の欠格条項をなくす会準備会ニュースより(抜粋)

 「昨年の交渉の場で、認定就学者数や、就学指導委員会の判定結果と実際の就学先人数などの提出を求めてきましたが、ようやく詳しい数が出されてきました。(既に中教審特別支援教育特別委員会には資料として配布されましたが、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(答申)には添付されていません)
 資料を分析すると、たとえばH17年度の全国の小学校新入学児については、就学指導委員会で盲・聾・養護学校「適」と判定された6,253人のうち通常学級・特殊学級に入学したのは1,409人います。しかしそのうち認定就学者として認定されたのは352人であり、残りの1,057人はこれまで文科省的には、いるべきはずのない子として扱われてきたのですが、今回初めて認定就学者と併せて、その存在が明らかになりました。
 また数字を追っていくと、H17年度で特殊教育(盲・聾・養護学校及び特殊学級)「適」の判定を受けた16,279人のうち、判定に逆らって通常学級に入った子が2,605人(16%)いることも見て取れます。単純に計算はできませんが、小1から中3までで2万人近くの障害のある子が通常学級に在籍していることになります。(以下略)」

解説

 私たちが、これまで埼玉県教育局や市町村教委に毎年出してもらってきたのは、小学1年生だけでなく、中学3年生までの、その年度に就学指導委員会で判定が行われた子どもの判定と実際の就学先についての数字です。それから、本号3ページで谷古宇県議が挙げている「1111人」という数字は、埼玉県特別支援教育振興協議会で県教育局が出した数字で、県内の小学1年生から中学3年生までの通常学級の生徒のうち、かって(今年度も含んで)就学指導委員会で特殊教育適の判定を受けたことのある子どもの総数です。上の「教育の欠格条項をなくす会準備会ニュース」で「2万人近くの障害のある子が通常学級に在籍していることになります」と言っているのは、小学1年生で2605人いるのだから、9年分とすれば、特殊学級や養護学校に移った子を差し引いて、最低そのくらいいるのではないかという推定でしょう。
 なおこの資料が出された中教審特別支援教育特別委員会では、その最終答申で、中間答申にはなかった「就学指導の在り方について」という項を盛り込みました。そこでは「平成14 年9 月から実施されている認定就学制度の運用状況等にも十分留意」すべきとした上で、「乳幼児期からの相談体制の構築を含めた就学前からの教育相談の在り方」や「就学後における児童生徒の教育的ニーズの的確な把握及び反映の一層の充実」(就学後における継続した就学相談・指導の在り方、校内委員会等の校内組織の在り方、児童生徒の教育的ニーズを反映した転学の弾力化)などを検討し、就学指導の見直しを行うことが適当と述べられています。「認定外」の障害のある子ども達の現状を固定化しつつ、よりきめ細かく子供たちを分けるシステムの中に取り込んでゆこうとしているのかもしれません。単なる「数字」にされてしまう子ども達の暮らしと思いを、みんなで伝えていきましょう。