あなたへ

子どもの力を信じて

瀬尾 裕実子(越谷市)

 桜井南小の普通学級に通っている1 年生です。  市の1 歳半健診では、「落ち着きがない」、「目を合わせない」、「言葉が遅い」など、いろいろと言われ、懸念されました。病院や教育相談所へさまよい、相談に行き、かえって迷い、友人の紹介でTOKOへ参加させてもらいました。
 いずれ出て行くであろう社会へ、その前の小・中・高校生活で、近しい学年の子ども達と地域も含めコミュニケーション、かかわりを持ってもらいたい一心で、小学校は普通級で考えていました。が、やはり心配で不安であり……しかし、TOKOに参加させていただいて、話を聞いたり、自身の話もしているうちに、決意が固まった、パワーをもらった一日でした。
 学校生活の細かいところは、これからの個人面談までわかりませんが、近況を聞くと、友達との距離のとり方、接し方には問題があるのかもしれません。本人は、とにかく元気に楽しく学校へ通っているので、子どもの力を信じて見守ろうと心に決めて送り出しています。

TOKO のおしゃべり会とフェスティバルに参加して

光田 千秋(県立大4年生)

 TOKO のおしゃべり会では、障害の有無に関係なくどの子も普通学級へ通うということや、就学相談について意見交換をしました。普通学級へ通いたいという希望があっても、実際に通うにはまだまだ改善しなければならないことがたくさんあるということがわかりました。何の問題もなく普通学級を卒業した私たちには、障害を持つ子供の姿は見えませんでした。そのような問題があることすら知りませんでした。障害をもつ子が学校へ通うためには改善、しクリアしなければならない課題がまだ多いということを、より多くの人が知るということは、重要な一歩であると思います。
 フェスティバルでは、車椅子の後ろに台車をつけて、子供たちと遊びました。最近の小学生は学校で車椅子体験をするらしく、「乗ったことあるよ。」「学校で勉強したよ!」と話してくれた子も多かったのが印象的でした。しかし、教習所で実施される救急法の講義と同じで、一度だけの勉強は忘れてしまいます。その時は分かったつもりでも、実際に必要な場面ではできないということになるでしょう。もし、クラスに車椅子の子がいたら、車椅子の講習は必要がなくなると思います。毎日の関わりの中で知っていけば、違うところでもスムーズに手を貸すことができるのではないでしょうか。
 障害などについて何も教わることのなかった頃よりは進んできました。しかし、それでも、まだまだ途中段階なのだと感じます。

支援員として また親として

水無 月

 私の住む市では、数年前から各小学校に1〜3 名の支援員が配置され、「指導対応の必要な児童生徒への支援」を行っています。市独自の体制でしたが、国として配慮するということは、大変喜ばしいことだと感じています。
 通常学級で学ぶ私の子どもも、支援員のサポートを週数時間うけています。私自身は市内の別の小学校で支援員の仕事をしています。障がいのある子どもが通常学級で「共に学ぶ」ためには、介助員、支援員など人的なサポートが不可欠であると考えます。
<支援員の仕事を通じて>
 主にアスペルガーや発達に問題のある子、勉強についていくのが難しい児童、外国籍で日本語に不自由な児童などを支援しています。問題行動の動機となる不安や恐怖心を取り除いたり、学習に前向きに取り組めるような声かけ、はげまし、環境整備など、それらの児童が他の児童と共に学ぶために必要なサポートすべてが支援員の仕事だと思っています。それ以外に、算数のチーム・ティーチングに入ったり、自習時の対応、学級や学年の雑務の手伝いなどをしています。人手という面で支援員が入ることにより、担任が余裕をもって気がかりな児童に対応できたり、授業や学級経営に専念できるなら、それも仕事として必要なことだと考えています。
 そして、支援員だけが問題のある子を支援するのではなく、担任も担任外も学校の職員をあげて共通理解の上で支援していくことが大切だと感じています。しかしながら、支援員は勤務時間が短く微妙な立場であり、職員会議や朝の打ち合わせ、特別支援教育の校内委員会なども参加できません。また、研修も年1回程度なので、どのように支援すべきか、支援の方向が正しいのか、間違っているかを検証することがなかなかできないのが悩みです。
 また、支援員の質や意識にもばらつきがあります。支援員が肢体不自由の児童に暴言や傷つけるようなことばをはいたという話を耳にしたことがあります。排泄や食事、移動などにも介助が必要な重度児童の支援を「こんな仕事をするために支援員になったのではない」と拒んだ支援員もいるそうです。各学校によっても支援員の仕事にばらつきがあるので、支援員間での情報交換ができるような機会をもうけ、仕事の中身やレベルの向上につながっていけばと思います。国で支援員を配置することになれば、意識やレベルの高い支援員を養成するための策が講じられることを期待したいと思います。
<自分の子どもが支援員のサポートを受けて>
 子どもの通う学校には支援の必要な児童が数人おり、また学級崩壊に近い学級もあります。二人の支援員は立ち歩きや教室から出て行ってしまう児童や人手の必要な学級に付くことが多いので、とりあえずおとなしく座っている息子のところには、週数時間しか付きません。でも、そのくらいがちょうど良いのかなと思います。
 授業の内容がわからなくても、ノートにいろんな落書きをして過ごしていることが多いようですが、その落書きが次第に授業内容に関係のあるものに変わりつつあります。まわりの児童も、いろいろ世話をやいてくれたり、勉強を教えてくれたりします。担任も支援員に頼りすぎることなく、自学級の一員としてみてくれていると感じます。
<就学指導のありかた>
 就学時健診は一応受けましたが、結果が出る前に教育委員会に出向き、通常の学級に入学したいことを伝えました。親の意思を尊重するということは、数年前からの実績もあり、すんなり入学通知をもらうことができました。学校へはやはり就学時健診のあと、通常学級に入りたい気持ちを伝え、春休み中に子どもを連れて、再度話し合いに行きました。信頼できる担任に恵まれ、校長からも前向きな対応を得ることができました。しかし、一方では、同じ学校でありながら付き添いを求められる児童もいます。また教師から嫌がらせを受けたり、ことあるごとに嫌味を言われるなどの話も聞きます。
 教委は今年度、各学校をまわり「気がかりなお子さん」のすべての保護者を呼び、「話し合いの場」をもちました。息子の場合は、「今のところ、楽しく学校に通っているようですが、今後勉強がわからなくなって、学校がつまらなくなったり、学校へ来るのが嫌になったりした場合にどうしますか?」といわれ、「そうなったら、そのときに考えます」と返答してきました。また学校や担任から何か「協力」を求められたら、快く応じてくださいと念を押されました。「年に一度くらい、このような話し合いの場を設けさせていただきたい」とも言われました。
 特に、養護に行けとか特殊に移れと言われたわけではありませんが、とても後ろ向きな対応のように思えてなりません。「手のかかる」児童は1 割もいるわけだし、今後も通常学級で学ぶ障がい児は増えていくと思われるで、教委にもいい加減あきらめて、「前向き」な対応を考えてもらいたいと切に願っています。
 車椅子や目や耳、体の不自由な人が住みやすい家や街が、普通の人たちにとっても住みやすいように、障がいのある子や「手のかかる子」が学びやすい学校は、他の児童にとっても学びやすく温かい学校であると確信しています。学力だけにとらわれることなく、より良い学校づくりのためにも、前向きな学校づくりを考えて欲しいです。