野外おしゃべり会でスイトンおいしく

障害のある人もない人も地域で共に!

 いい天気で、ひなたは暑かったですが、バーベキュー広場は若葉越しの光と影がゆらめき、そよ風も通って、とてもさわやかでした。今回も地元の鈴木照和さんが食材調達から調理の段取りまで担ってくれました。素朴な味の、具のたっぷり入ったスイトンでした。写真でわかるように、思い思いのおしゃべりをまじえ、自己紹介や近況報告、悩みなどを出し合いました。参加者は60人をこえました。話題になったことを、いくつかご紹介します。(山下)


いじめ体験をめぐって

 上原さん(春日部)から、普通学級に通う娘さんが、KYと攻撃されることを前は気にしていなかったのに、最近気にし始めたので、親も悩んでいるという話が出て、各々のいじめ体験などが話されました。以下は、その一部を要約。

五十嵐さん(春日部):低学年のころは息子さんの学校での様子を教えてくれる同級生がいたが、高学年になったらタブーのようになった。後になってから、食べ物をおごらされたなどと、本人の口から聞いて知った。

竹迫さん(草加):上原さんの娘さんは、自分が周りとかみ合わないことに気付き始めたという成長の過程にあり、親子できつくなりながら乗り越えて、新たな関係ができてゆく契機では。

吉田さん(春日部):養護学校時代をふりかえると、いじめられたことはあるが、どちらかというと友達で、これやってこいとか言われた程度、その子にべんきょう教えてこともあるし。自分の子供たちに関しては、いじめられたら仕返しして来いと言うつもり。

熊谷父さん(川口):ケンカはするべき、子供の起こしたケンカは子どもが解決すべき。

富樫さん(越谷):学校でずっといじめられ、石を投げたりもされたが、弟が助けてくれたし、だんだん強くなった。

野島さん(春日部):、養護学校時代も、施設でもいじめられた。

安倍さん(新座):体型的にデブだとかなんだとかいじめられたが、片手で男の子を突き飛ばしていたので、いじめたり、いじめられたりという感じ。

熊谷母さん(川口):クラスメートから「今日、たける、2 年生にいじめられてたんだよ。僕達が助けてあげたんだよ。」という話を聞いた。自分では都合悪いことは言わないけれど、お友達が全部教えてくれる。


きょうだいについて

 千崎さん(越谷)から、特別支援学校に通うお兄ちゃんにとっての地域とは、とりあえず地域の学校に通う弟が連れてくる友達との関係ではないかという話と、その弟が他の人に「うちのお兄ちゃんバカだから」と話していたのを聞いたということが出され、それぞれの家庭でのきょうだい関係について語られました。

藤ケ谷さん(春日部)、上原さん(同):普通学級の中でちょっと変わったことをやると、「バカ」とか「ガイジ」とかの言葉が飛び交っているので、あまり気にしなくていいんじゃないか。

熊谷兄さん(川口):弟のことを友達に「頭の悪い障害です」と言っている。


これからの悩みや期待

 これからのことについて、悩みや期待などが、語り合われました。

五十嵐さん親子(春日部):来春高校を卒業した後、進学か就職か悩んでいる。

上原さん(春日部)、熊谷さん(川口):子供が来春小学校卒業で、不安もあるけれど地元の中学校でがんばってゆこうと考えている。

清水さん(越谷):いま学区外の小学校の特別支援学級に行っている息子さんを毎日送り迎えしているが、卒業までの2年間で、短い距離から少しずつ自立登校にチャレンジし、あとは学区の通学班に混ぜてもらったりできればいいなと考えている。

岩崎さん(春日部):一人で暮らしているが、この頃中性脂肪が高くなって医者通いをしており、早目に治したい。

白石さん(春日部):グループホーム・テレサにいつまでいられるかが悩み。

青木さん(春日部):精神の障害と骨粗しょう症があるが、世一緒でのポスティングや花植えなどの仕事があればいいなと思っている。

辻さん(越谷):議員になってからあまり障害者の介助をしていなかったが、子どもが生まれて、これは24 時間介助だなと実感した。

坂田智さん(春日部):早く就職したい。

畔柳さん(春日部):90歳のお母さんが大腿骨を折って入院中で、いよいよ本格的介護だなと思っているところへ、孫が生まれ、どちらも介護が問われるとともに、かわいいという感じもある。

中山さん(越谷):「早くクルマに座って」と同乗者にせかされた時、「座ってじゃないの。『乗っての間違い』」、「ごめんなさい(と言って!)」といつまでもその人に迫るような、こだわりの強いべしみの通所者と、先日ケンカをした。FAXの送信をめぐっての押し問答を30 分続け、初めて頬をちょっと叩かれたのだが、母親にはゲンコで殴るのに、中山さんには手加減をした。その関係の取り方を実感して、もっとこうした場面を共有できるようにしたいと感じた。

竹迫さん(草加):かって「特殊教育」と言っていた時代の強引な就学指導からいまは「特別支援教育」に衣替えされ、「相談ですよ」、「選べますよ」と言いながら、その実さらに細かく分けられ、指導も強くなっているのが現実ではないか。普通学級や高校の中でも、「この時間は別にやりましょう」といった圧力が、選択肢という名で、加えられてくる中で、どうやって一緒にやってゆくかが悩み。

渡辺さん(越谷):息子の宗山が特別支援学校の小3で、地域とのつながりが全くない中で、幼稚園の時から4年間、いろんな公園に一緒に行き、遊んでいる子ども達の中に手を引いて入れてあげてと言うことを積み重ねてきた結果、一緒に駄菓子屋へ行ったりする友達ができた。さらに子ども会への参加や公文など、なんとか地域の顔にと努力を重ねている。

白倉さん(春日部):娘の清美が通い続けてきた近所のデイケア施設が、遠くに移転して生活介護事業所となり、元々の場は少人数でさをり織りをする施設に特化し作業能力の高い人だけを対象としたため、近所の人達の中で活動したい親子の願いが一方的に断たれてしまったこと。この間、親子共に悩み続けたけれど、今後を考えるいい時間をもらった。

斉藤父さん(さいたま市):息子の晴彦が、昨年皆さんのおかげで大宮商業高校の定時制を卒業できた。障害をもっている身内がいるということは別にたいしたことではない。みんな仲良くやってればなんとかなるものだ。

新井さん(越谷):世一緒の当番をしている。就職したい。


野外おしゃべり会ってなんだ

 野外TOKOおしゃべり会について、山下から少し述べました。
 誰でも自分の将来はわからないし、それを考えると不安になる。でも他人事なら落ち着いて聞けるし、少しは助言もできそう。だから他人の話を聞くのは大切なこと。ピアカウンセラーとか、ピアヘルパーは、障害者だけのことでなく、誰でもできる。障害のあるなしにかかわらず、そういう他人同士の関係をつくってゆこう。
 わらじの会でも施設や介助事業を運営している。しかし、できればそういう特別なものがなくても地域で共に生きられるようにしたい。制度におまかせにして、身近な人同士がつながりあえない現状を変えたい。世一緒は職員がいない。制度がない。制度がないこともいっぱいやらなければ、地域は変わらない。就学基準に従わずに普通学級で学ぶこともそうだし、清水さんの自立登校や渡辺さんの公園参加もそう。お互いに制度の枠をこえて街に出てゆくことで、初めていろんな人がいるんだなという認識が広がってゆく。

坂田さん(幸手):子供が小学校の頃から参加している。あたりまえに地域で一緒に大人になろう。


教え子登場

 偶然にも、竹迫さんの教え子(春日部特別支援学校の今春の卒業生)が、通りかかって一言。「いま株式会社の仕事をやっています。ダンボールを運んだりしています。お給料でなにか買ったりとか、楽しみを選んでます。卒業してから、先生のことを思い出してさびしいときもあります。学校の方が楽しかったなあとは1 回だけ思いました。」


みなさんありがとう

 ここに収録した発言は、ごく一部です。誌面の都合で載せられなかったみなさんも含め、当日のご参加ありがとうございました。当日子ども達と一緒に動き回っていて、話し合いに参加できなかった県立大生のみなさんも、お世話になりました。
 TOKOでは、このような野外おしゃべり会のほかにも、屋内でのおしゃべり会や相談会などを開催してゆきます。また、TOKO以外にも、わらじの会等の行事がたくさんありますので、ご参加下さい。


生活ホームでTOKOを

辻 彩子さん(越谷):子供を出産しまして、育休が明けて5月から職場復帰しました。今生活ホーム職員として、また新たに働かせていただくことになりました。皆さん、生活ホームオエヴィスというのを知っていますか?そこの居間を使って、TOKOのおしゃべり会を月に1回やってもらうこととなりまして、4月の末に一度やって和気あいあいとお話できていたと思います。また、今月は5月19日にオエヴィスの居間でおしゃべり会をする予定になっています。今後月に1回やっていく予定なので、お時間ある方はふらりと立ち寄って、情報交換したり、息抜きしたりどうぞ。(上の写真右)