報告 越谷市教委との話し合い(メモ)
2010.2.1
TOKOでは、例年通り、春日部、越谷両市教委に対して要望書を出し、話し合いを行いました。春日部市は1月18日と3月8日、越谷市は2月1日に、それぞれ行いました。今回は、越谷市教委の回答についてお伝えします。
参加者:白倉、山下、清水、太田、種房、佐藤、樋上、藤崎、松本、中山
教委:細谷、斉藤
1.就学時健診をふりわけの手段としないこと
(要望)2003年以降、貴委員会は、「本来は障害のある子もない子も地域の通常の学級で共に育ち・共に学ぶことが大切である。現状ではそこで学ぶための理解や支援が整っているとは言い切れない状況もあるので、親子が望む場合には、特殊学級や盲・聾・養護学校も用意し、そこでの教育を選択できるようにしている。」とくりかえし確認して来られました。国レベルでも、学校教育法施行令5条の見直しが課題になっているいま、貴市段階でも可能な具体策を進めて下さい。まず就学時健診については、仙台市、千葉市、川崎市、横浜市、大阪市等にならって知能テストをとりやめること、また東大阪市のように受診義務はないことを広報して下さい。
(回答)書かれているとおり、振り分けの手段とはしない。学校に入ってからの支援のため、保護者から相談に乗ってほしいという要望あり、就学相談時に情報を提供している。全市内の保育所、幼稚園にも情報提供。知能テストをやめることは考えていない。
2.就学支援委員会に代わる相談支援委員会の設置
(要望)学校教育法施行令5条に基づくふりわけを前提とした就学支援委員会については、東松山市にならって廃止して下さい。そして、2003年に確認された「障害のある子どもと障害のない子どもが、分け隔てられることなくともに学び育つことができるように、多様な支援方法を検討して障害のある子どもの地域の通常学級での学校生活をサポートする施策を進め」、「地域の通常の学級で共に育ち・共に学ぶ上でのさまざまな壁や親子の不安・ためらいに応え、支えてゆくための『相談(および支援)』活動」に重点を置くともに、「やむをえず特殊学級、盲・聾・養護学校を選択した親子や就学先に関し専門家の判断を希望する親子に対して」もできる限り地域で分け隔てられず育ち合えるよう、情報提供と相談及び支援調整を担う新たな委員会を設けてください。
(回答)市では就学相談の考え方は、子供がよりよく成長できるようにと考え行っている。今の委員会の狙いをきちんと校内の相談や教育相談に生かしていきたい。
国レベルでの動きについては市町村の段階では未検討。もう少し方向性が出てから。必ずしも種別だけでは判断していない。希望を聞くことは大事だが、情報を提供している。いくつかの選択肢を示して、もちろん大事なところは保護者の意見、就学支援委員会の内容はきちんと整理していく。
3.付き添いの是正
(要望)2003年の「入学時も、入学後も、保護者に対して付き添いの強要は、行わないよう、校長に確認している。」という確認とは異なる事態がしばしば起きています。2003年に「登校について不安をお持ちの方が、自主的に付き添っている」、「あくまでも保護者の意思によるもの」、「保護者の側から『お手伝いしたい』ということをうかがうことはある」と説明されましたが、実際は無言の強要というべき状況が多くあります。特に、校外学習などの際は、親の付き添いが当然視されています。子供達だけでやる活動もあるのに、大人がいて口出しすることは、教育的にも問題が多いと考えます。また、親が付き添えないからといって、校外学習に参加できないといった事態があってはならないと思います。貴委員会として、学校への支援をしっかり行ってください。
(回答)付き添いの強制は確認していない。現実、学習効果を挙げるために保護者の協力は必要。総合学習のため、保護者に協力してもらっていることは事実だが、特別に障害児だけではない。情報があれば把握していきたい。できれば学校のことは学校でという原則でやりたい。距離などにもよる。学校応援ボランティア、社協ボランティアにお願いしている人もいる。保護者が窓口として交渉する。細かいことは把握していない。
4.特別支援教育支援員の位置及び研修・研究、勤務条件
(要望)貴市は、臨時教職員として雇用された教育免許または保育士免許を持っている人達を特別支援教育支援員として配置されています。また、この支援員のほかに補助教員ボランティアも現場に入っています。まず、それぞれの人数と配置の実態について、教えてください。また、障害のある子もない子も共に学ぶための支援員等については、本人および教職員全体に対し、毎年の実績を踏まえた継続的な研修が大切であり、このことが十分に行われないと、障害のある子は支援員が見ればいいという閉ざされた関係が生じかねません。現状はどうなっているでしょうか。さらに、同じ臨時教職員でも、教諭・非常勤講師・事務職員などは、常勤の場合週5日、1日7時間45分であるのに対し、特別支援教育支援員は週20時間、1日5時間になっています。この事情について教えてください。また、支援員等がこの時間帯いなくなるからと、その間親に付き添ってほしいという事例があると聞きますが、実情はいかがでしょうか。
(回答)10年前から動きがあり、越谷市の名称は補助員。平成9年から全市で2人。学校や保護者からの要望で少しずつ増えてきている。平成17年は十数人だが、今年は32名プラスアルファ。3学期は34人。時間は本来は全部だが、予算との関係があり、1日5時間。難しい部分もあるが、各学校からは人数を増やすことを優先。研修は十分な時間が取れないのも現状だが、年1 回教育相談所で研修を行っている。各学期ごとに活動の報告を出してもらい、特別支援教育コーディネーターを通して、支援員の相談にも応じている。時間が増えることでの問題を検討している。
募集かける段階では5時間、週4日で同意して来てくれている。今後、今の話もしていきたい。一人一人が違うので、情報収集から始めて、弾力的にクラスの中に入っている。いかに離れていくかも大事なところだと思うので。
大人が介入することの難しさはある。先輩にも教えてもらい、どう接していくか、情報もらえればと思う。支援員については毎年必要なところに配置していく。全体の中で、継続が難しい状況。子供の理解や関係は時間がかかるが。雇用は、学校課で行っている。
5.居住地校からの呼びかけ
(要望)2003年に、「盲・聾・養護学校に行っている児童・生徒も、本来は地域の通常学級で学ぶべき子どもとしてとらえる」こと、そして「盲・聾・養護学校の子どもが、その子の本来行くべき居住地の学校の通常学級に参加できるよう努力していく。」という趣旨の確認をいたしました。その後、県により支援籍制度が作られ、国の法改正により特別支援教育が進められましたが、いずれもこれまでの分ける教育の枠組みを引き継いでいるため、居住地交流は一部でしか進んでいません。分けられた教育の場にいる本人・保護者が「地域で育ちたい」と声を挙げるのをただ待つだけでなく、地域の学校の側からも学区内在住の特別支援学校生徒達に対し、在宅訪問や学校訪問を行うなど、「うちに帰っておいで」という声を投げかける取組を行ってください。
(回答)平成21年度の支援籍、7人が各学期に1回くらい居住地校で授業を受けた。成果もあり、来年度も実施していきたい。そのほかの交流も広く進めていきたい。学校公開という形や、運動会など学校行事、その他子ども会なども含めて交流の機会を持っていく。
6.公立高校を共に学ぶ場に
(要望)これまで養護学校という地域から分けられた教育の場を増やし、障害のある子供たちを囲い込んできたことにより、特殊学級・養護学校を合計した新卒者の就職は25年間で半減してしまいました。その反省を抜きに「就労100%」を謳い「軽度の知的障害」とされた生徒たちを集め、高等養護学校を開設したことは、障害者雇用枠という椅子取りゲームに敗れて福祉の世界に滞留する障害者をさらに増やすだけです。ほんとうに共に生きる地域社会を求めるのなら、職場参加や自立生活への道の前に立ちはだかっている高校という場を共に育ち・共に学ぶところに変えてゆく必要があります。県民の税金で運営されている県立高校に、さまざまな障害のある生徒が入ってゆけるよう、中学の進路指導のノーマライゼーションを進めるとともに、県に対し高校統廃合計画の見直しや受け入れ校への人的支援などを要請してください。
(回答)高等養護学校等の評価については、市としては言えない。現実に、さくら、ふじはこれから就職していく。分校も。成果などこれから出てくると思う。情報収集しながら、たくさんの選択肢を示していきたい。高校の入試選抜要領などの詳細を、高校進学を希望する障害のある生徒に伝えることについては、中学と高校が直接行っているので、全部を把握していない。