特別支援教育振興協議会最終報告に向けての意見書

委員 武井 英子

1.今年度からスタートした彩の国障害者プラン21では、障害のある人とない人が「同等」になることをめざすこれまでの基本理念を改めて、「分け隔てられることなく」という理念をはっきりさせ、それに基づいて教育の分野においても「共に育ち、共に学ぶ」ノーマライゼーションの方向が確認されました。この経過に照らしてみると、これまでの県・市町村の「就学指導」において、学校教育法施行令22条の3別表に基づき、障害の種類・程度に応じて、子供たちを「盲・ろう・養護学校が望ましい」とか「通常学級が望ましい」などと一律に判定してきたことが、あってはならない差別であることは明白です。福祉の分野においても障害の種類・程度に応じて利用可能な制度が異なり、利用の申請が出された場合その判定が必要になることはあります。しかし、まず判定ありきとして、一律に「入所施設が望ましい」人や「地域生活が望ましい」人を分ける判定などは他に存在しようもありません。現在の就学判定は、障害があることによって行政が一方的に生活の場をきめつける差別制度であり、次代をになう子供たちに与える影響ははかりしれないものがあります。ただちに撤廃すべきです。

2.本来はすべての子供たちが地域の通常学級で共に学び、共に育つことをめざすべきであり、自治体はそのための相談に最大限の努力を傾ける必要があります。しかし、それでも教育環境や主体的条件が整わず、本人・保護者が通常学級で学ぶことは難しいと判断し、特殊学級や盲・ろう・養護学校で学びたいという希望がある場合、それに応えられる体制整備は現状では必要なことです。もとより特殊学級や盲・ろう・養護学校は誰でも入れる学校ではありませんので、本人・保護者の希望により、その利用の適否の判断は自治体の責任で行う必要があり、そのための基準として22条の3別表が存在するのであれば理解はできます。

3.特別支援教育振興協議会最終報告案においては、1の「就学指導」の基本は維持した上で、学校(学級)の枠を柔軟にする(支援籍)として、差別を維持することを基本にしており、私たちはこれを認めることはできません。

4.すでに東松山市では全国で初めて就学指導委員会を廃止し、就学相談委員会を立ち上げることを明らかにしていますが、私たちはこれを支持するとともに、他市においても上記1の就学判定を撤廃し、共に学び、共に育つための相談体制を、本人・保護者の参加の下に確立するよう県が助言・援助してゆくことを求めたいと考えます。

5、この特別支援教育振興協議会が発足した当時から、日程が短すぎることが各委員から指摘されていましたが、事務局は予算編成に間に合わせる都合を最優先にして押し切ってきました。会議の中で出された反論は、一向に事務局案には反映されないでいます。現行の差別的な就学判定・就学指導の維持を前提とした最終報告案の見直しに向け、ただちに特別支援教育振興協議会で十分な論議の日程を組みなおすべきであることを、重ねて強く申し入れます。